一途な後輩に、秘密に溺愛されてます。


「それに、俺がセンパイに奢りたいんです」


「……何か企んでるの?」


「何でそうなるんですか」



レジの前で何分間か論争を繰り広げたのち、私が折れた。


なんか私、全然先輩らしくないんですけど。




「……私も悧來ばっかりに任せるのは申し訳ないな」


「じゃあ、一日俺に弁当作ってきてくれませんか」


「お弁当?」


「センパイの手作り弁当、食べたいです」


「……わかった、ありがとう」




そんなもので、本当にいいのか。


悩んだけど頷いた私を見て嬉しそうにはにかむ悧來に、美味しいお弁当を作ろうと意気込んだ。



*




「……あ、そうだ。悧來、私行きたいとこあるんだよね」


「行きたいところ?」


「そう、一回行ってみたい場所があるんだ」



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