一途な後輩に、秘密に溺愛されてます。


「それなら、行きましょう」


「……っ、悧來」


「何ですか?」


「私が言いたいこと分かってるでしょ」



ぱっと自然にとられた手は、ぎゅっと悧來に絡められて離れそうにない。


言いたいことは伝わっている筈なのに、さらに力を優しく込められる始末。


見せつけるように繋いだ手と手を私の前に掲げた。



「今日はデートだって言ったでしょ、センパイ」


「……はいはい」





*



やってきたのは、少し駅から離れた高台。


周りに住宅も少なくて、一番上まで登ると風がびゅんびゅん打ち付ける。



「ーーあ、やっぱり」


「……これが見たかったんですね」


「うん綺麗でしょ、夕日」



ちょうど、日の沈み始める時間帯だから、ここからなら大きな夕日がよく見える。



「ここ、前一瞬通った時に『あ、いけるかも』思ったんだけど、実際に見るのは初めてなんだよねー」



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