一途な後輩に、秘密に溺愛されてます。
「……ねえ悧來」
「なんですか?」
「“無理矢理連れてきた”なんて思わなくていいよ」
その言葉に、夕日を収めていた瞳が私を捉えた。
私は目を合わせずに、独り言を呟くようにして言葉をゆっくり空に溶かす。
「初めは若干、若干餌付けされた感じはあるけど……悧來といて退屈しないし、むしろ楽しいし、」
「……」
「気がついたら私も笑ってた。悧來といたから。……だから無理矢理連れてきたなんて思っちゃだめよ?」
「…先輩」
「この夕日だって悧來と見たいって思ったから連れてきた。……私、今日のデートの相手が悧來で良かった」
ありがとう、と横を向いた瞬間、
ふわりと何かに包まれた。
それが悧來だとはすぐに理解したけど、私はなぜか離れようとはしなかった。
肩には髪がサラサラとかかって、少しくすぐったい。
「……りく?」
「……あんたは、どれだけ」