一途な後輩に、秘密に溺愛されてます。

*






「……で、なんで悧來はここにいるの」


「綿乃先輩から合コンの場所聞いて」


「なんで来たの」


「なんででしょう」




首をかしげて薄く笑みを浮かべる顔は、いつも私をからかう悧來らしくなかった。


珍しく暖かい夜の風が、私の頬を優しく撫でる。



「……内心はばかにしてるんでしょう?やっぱりダメだったじゃんかって」


「なんで?」


「なんで、って」



悧來があんなに止めたのに、行った私には彼が考えていることは微塵もわからない。



「……俺はいいと思うけどなあ」



独り言のように呟かれたそれは、私の耳にも聞こえる大きさで。


しっかりと私の瞳を捉えて紡いでいるという事を理解するのに時間はかからなかった。



「なにが?」


「しっかりしていて、真面目で、人によく頼られるくせに、自分からは頼るのが苦手で」


「……」


「ちゃんと自分を持ってるのに、なぜか流されやすい……そんな人」


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