一途な後輩に、秘密に溺愛されてます。
なんだか目の前で開けられるのって、緊張するな。さっきみんなに渡すときよりも心臓がばくばくしてる。
「……めちゃくちゃうまい、です」
「それは良かった」
「来年も、俺に作ってくれたらいいなー」
「え?なんて?」
あまり聞こえなかったから聞き返すと、なんでもないです、とはぐらかされた。
少し顔が赤かった、気もする。
「……先輩」
なあに?と彼を見つめると、真剣な表情をしていて、あまり見ることのない顔にどきりとする。
「四月一日。先輩の一日を、俺にくれませんか」
「……え?いいけど……」
なんで?という疑問は、「やった!」とめちゃくちゃ嬉しそうにしている悧來の様子で聞けなかった。
「めちゃくちゃ楽しみです」
「……そっか、私も」
「……え」
言葉が途切れたと思ったら、なにやら赤くなっている彼。さっきのは気のせいじゃなかった。
なんだか、その表情をさせているのが私だということが嬉しくて、噛み締めるように笑った。