想箱

昼下がり仲直り

喧嘩したあとの
仲直りは難しい
気持ちが
言葉にしにくいから

やけに静かだと思い
下に降りると
いつものソファーの上
文庫本を胸に
君がすやすやと眠っていた

スカートの下から覗く
白いふくらはぎが(なま)めかしい

寝てるよね

ちょっと(よこしま)な気持ちが
胸をよぎったけれど
紳士な僕は
そっと電子ケトルをセットした

ううぅ〜ん

その音で君が
もぞもぞと寝返りをうつと
今度は大胆な
太ももが(あら)わになった

うん、これは
アカンやつや

僕は高鳴る鼓動を抑えつつ
君のもとへ近づくと
そっと手を
伸ばして


君の柔らかな
髪を(すく)った

うっすらと目を開けた君に
紅茶飲む?
と聞いてみる

小さく頷いたあと
君は
文庫本を横に置くと

んっ

そう言って
僕に両手を差し出した

それはいつもの
ハグの合図

君と僕との
仲直りのサイン




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