【完】恋情を拗らせた幼なじみ社長は、訳アリ令嬢を執愛している。
「……美味しかったです。このクラッカーのも甘いカクテルに合ってました」
「良かったよ。……麗ちゃん、話があるんだけどいい?」
お酒が飲み終わる頃、碧さんは真剣な表情を見せた。
「宝月麗さん……俺と結婚してください」
そう言って私に小さな箱を差し出した。それは、このシチュエーションでなんなのかわかった。
「……どうして私なんですか?」
「麗が好きだからだよ」
「……傷痕が原因ですか?」
「はっきりと違うとは言えない。だけど、きっかけはそれもある。だけど何よりも愛してるんだ」
彼から放たれる熱い視線は本物だと思えた。それに、彼はジャケットの内ポケットから一つ封筒を差し出した。