【完】恋情を拗らせた幼なじみ社長は、訳アリ令嬢を執愛している。
それから、俺は彼らに言われたとおり宝月家からは出入りしなくなった。
両親は謝り慰謝料を渡していたみたいだが、俺は彼女と会っていた時間を勉学に充てた。
大人になって立派になって彼女を迎え入れても大丈夫なように。日本の学校だけではダメだと海外に留学をして、人脈を作り――今に至る。
すべては麗ちゃんのため。
彼女を手に入れて幸せにするためだ。
「……麗ちゃんは、俺からは離れることなんてできないんだよ」
そう言った言葉は誰にも拾われず、静寂な部屋に消えて行った。