【完】恋情を拗らせた幼なじみ社長は、訳アリ令嬢を執愛している。
5.執愛
彼と入籍を果たし、私は彼のマンションに引っ越した。
引っ越したというか、引越し作業はマンションに到着して終わっていた……これは拒否権なかったんじゃないかと思うくらいのスピード感だ。
それからも碧くんは夜になると私を求めてきて、傷なんてなかったんじゃないかと思ってしまう。だけど、シャワー室に行くたびに鏡に映る自分を見て確かに傷があり落胆するがいつもとは違うのは悲しさだけじゃなく彼のキスマークの方がいっぱいで……笑ってしまう方が増えたのも事実だ。
「……ふふ」
以前、何故直接じゃないとはいえ傷痕の原因である彼を憎まないのかと聞かれたことがあるけど私は憎むなんてしない。
だって、碧くんが悪いわけじゃないし彼は大好きな憧れのお兄ちゃんだったのだから。
だから、彼に好きだって言われて嬉しかったしだから結婚も受け入れたのだ。誰が何と言おうと私は今、幸せだ。