生きたくても生きられない君と生きたくないのに生かされる僕の一年間ノート

第1章  5月。はじめまして。 真逆な身体と心の2人。 交換ノートをはじめよう。〜交換日〜

5月31日 交換 〜小児科〜
「やあ!」 
「うわっ。驚かすなよ。」
「明日かな〜、今日かな〜、って、ワクワクしてた!待ってたよ!」 
「僕を?あ、ありがとう。僕が約束をすっぽかす可能性は君の中になかったの?」 
「なかったね。あなた意外と律儀そうだと見込んだから!」 
「当たってなくもないね。」
「書けた?見せてよ!」 
「僕の前で見ないでくれ。自分でも恥ずかしいから、帰ってから。」 
「はーい、わかった!」 
「君はずっと前からこの病院にいるの?」 
「んー、正しくは入退院を繰り返してるね。でも、一生の内、病院の方が多いや。」 
「これから、君はその、治るの?」 
「わかんない!でも、治る、って信じてる。」 
「信じる、って言葉ほど、淡い言葉はないね。」 
「命は脆いもの。病気じゃないひとも、急に死んじゃうこと、いっぱいあるよ。」 
「だからこそ、みんな明日が来ることを、信じてるのかな。」 
「んー、意識してないひとも、多いんじゃない?忙しくて、それどころじゃない、って。」 
「そうやって、気づいたら老いてしまっていて、死んでいくんだろうね。」 
「そう考えたら、私たちは、生きることに向き合わされてるね!よかったね!」 
「君のポジティブさには敵わないよ。じゃあ僕はそろそろ。」
「うん!読むね!ありがとう!また一ヵ月後ね!」 
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