妹に許婚を奪われたら、冷徹CEOに激愛を注がれました～入れ替え婚!?～

「すまない。俺が苦しめていたなんて、本当にすまない。だが、誓って何もないから安心してくれ。あの女は……自分と結婚し直してほしいと――」
「えっ！？」

　彰史が話している途中にも関わらず、驚きの声が漏れる。だって、あまりにも衝撃的すぎる。

　自分から彰史を捨てておいて、朔也のことを奪っておいて、それなのに今度は彰史に乗り換えようだなんてひどすぎる。

　円香を、彰史を、そして朔也すら馬鹿にしている。人の想いをあまりに踏みにじっている。

　たった一人の妹である麗香を円香は少なからずかわいく思っていた。それなのに、今はもう憎しみが増すばかりである。麗香の非道な行いに胸が強く痛む。

　円香が苦しさから胸に抱えた手をさらに強く握りしめれば、そこに彰史の手がそっと添えられる。

　彰史はそのまま円香の手を優しく包み込み、円香を落ち着かせるような穏やかな声音で続きを語る。

「そんな正気の沙汰とは思えないことを言ってきたが、俺は迷惑だときっぱり断っている。付きまとうなとはっきり拒絶している。俺は円香と別れるつもりはない」

　そう言いきった彰史に、円香は縋るような視線を送る。