妹に許婚を奪われたら、冷徹CEOに激愛を注がれました~入れ替え婚!?~
 次の週末。戦場へと赴く円香と彰史。そこは円香にとっては、苦い想い出の場所にもなってしまった円香の実家である。

 とても人様に聞かせられる話ではないし、話し合いの間、麗香の子供を両親に見ていてもらえるからということでこの場所になった。

 両親にはもうすべてを話してあるが、彼らは話し合いの場には参加しない。それは、自分たちで決着をつけたいという円香らの意志によるものである。


 先に実家へと到着した円香たちは、並んでリビングテーブルへと着く。ここには家族のいい想い出がたくさん詰まっているが、それももう切ない想い出に塗り替わってしまっている。

 そんな想い出たちを思い浮かべて、円香が小さくため息をこぼせば、彰史は円香を励ますように、優しく円香の頭に触れる。たったそれだけで心が落ち着いてくる。

 円香が『大丈夫だから』という意味を込めて彰史に向かって微笑めば、彰史も同じように優しい笑みを返してくれた。
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