妹に許婚を奪われたら、冷徹CEOに激愛を注がれました~入れ替え婚!?~
「傷ついたよ。これ以上ないほど傷ついた。ここに帰ってこれなくなるくらい、傷ついたんだよ。でも、彰史さんのおかげでようやく立ち直ったの。お願い、もう私の大切な人を奪わないで」
「お姉ちゃん……」
絶望の表情を浮かべる麗香。そこに彰史が追い打ちをかける。
「これ以上円香を傷つけるなら、俺も黙ってはおかない。徹底的に貴様を排除する。二度とその面を見せるな。円香にももう関わるな。少しでも姉を慕う気持ちがあるなら、俺たちの前に姿を現さないでくれ」
「っ……うっ……」
とうとう泣きだす麗香。あの麗香が泣いているなんて、大きくなってからは初めてのことだ。どういう気持ちで泣いているかはわからないが、その表情には後悔が滲み出ている。
麗香がそんな表情を浮かべている今ならば、円香の声がちゃんと届く気がして、円香は冷静になった思考で、麗香のための言葉を紡ぐ。
「私の幸せを奪ったって、麗香ちゃんは幸せになれないよ。私と彰史さんの幸せは、二人の間にしかないから。麗香ちゃんが向き合うべきなのは、朔也くんと子供と自分自身だけだよ」
麗香は円香と目を合わせると、嗚咽を抑え込んで何か言おうとする素振りを見せるが、結局は何も言わずにそのまま家を飛び出した。
「麗香ちゃんっ!」
朔也が叫ぶ。朔也は麗香を追おうとするが、円香たちが気になって迷っている様子だ。しかたなく円香が背中を押してやる。
「行って? 麗香ちゃんのこと、お願い。子供はあとで連れて行くように、お父さんとお母さんに言っておくから」
「ごめんっ。本当にごめん、円香ちゃん。本当にごめんなさいっ」
恐らくその言葉にはこれまでのすべてに対する謝罪も含まれているのだろう。だから、円香はただ曖昧に微笑む。
朔也からの謝罪を円香は決して受け入れられない。彼のことは一生許せないから、その謝罪はただ事実として受け止めるしかないのだ。
朔也は床につかんばかりの勢いで頭を思いきり下げると、すぐに麗香を追って家を出る。円香は心の中で『さようなら』と呟きながら、その背を見送った。
「お姉ちゃん……」
絶望の表情を浮かべる麗香。そこに彰史が追い打ちをかける。
「これ以上円香を傷つけるなら、俺も黙ってはおかない。徹底的に貴様を排除する。二度とその面を見せるな。円香にももう関わるな。少しでも姉を慕う気持ちがあるなら、俺たちの前に姿を現さないでくれ」
「っ……うっ……」
とうとう泣きだす麗香。あの麗香が泣いているなんて、大きくなってからは初めてのことだ。どういう気持ちで泣いているかはわからないが、その表情には後悔が滲み出ている。
麗香がそんな表情を浮かべている今ならば、円香の声がちゃんと届く気がして、円香は冷静になった思考で、麗香のための言葉を紡ぐ。
「私の幸せを奪ったって、麗香ちゃんは幸せになれないよ。私と彰史さんの幸せは、二人の間にしかないから。麗香ちゃんが向き合うべきなのは、朔也くんと子供と自分自身だけだよ」
麗香は円香と目を合わせると、嗚咽を抑え込んで何か言おうとする素振りを見せるが、結局は何も言わずにそのまま家を飛び出した。
「麗香ちゃんっ!」
朔也が叫ぶ。朔也は麗香を追おうとするが、円香たちが気になって迷っている様子だ。しかたなく円香が背中を押してやる。
「行って? 麗香ちゃんのこと、お願い。子供はあとで連れて行くように、お父さんとお母さんに言っておくから」
「ごめんっ。本当にごめん、円香ちゃん。本当にごめんなさいっ」
恐らくその言葉にはこれまでのすべてに対する謝罪も含まれているのだろう。だから、円香はただ曖昧に微笑む。
朔也からの謝罪を円香は決して受け入れられない。彼のことは一生許せないから、その謝罪はただ事実として受け止めるしかないのだ。
朔也は床につかんばかりの勢いで頭を思いきり下げると、すぐに麗香を追って家を出る。円香は心の中で『さようなら』と呟きながら、その背を見送った。