妹に許婚を奪われたら、冷徹CEOに激愛を注がれました~入れ替え婚!?~
 予想していなかった終わりを迎え、円香は少し複雑な気持ちになる。けれど、正面から麗香にぶつかったことで、心の中は随分とすっきりしている。

 麗香の言葉にはひどく傷つけられたが、彰史との未来が守られれば、円香はもうそれでいいのだ。今の円香には彰史が何よりも大切だから。

 願わくは、円香の知らないところで、麗香は麗香の幸せを見つけてくれればいい。


 円香は張りつめていた気を緩めるように、ほっと息を吐き出す。

 すると、それを合図にして彰史がそっと肩を抱き寄せてくる。その状態のまま「頑張ったな」と優しく髪を撫でられれば、自然と心も体も解れていく。

 円香は、少しだけだから、と自分に言い訳をして、彰史にそっと寄りかかった。そして、小さく「ありがとう、彰史さん」と呟いた。
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