妹に許婚を奪われたら、冷徹CEOに激愛を注がれました~入れ替え婚!?~
「……キスは必要ないじゃないですか」
「必要かどうかは関係ない。俺がしたかっただけだ」
「っ!? したかったって……えぇ……」

 ストレートにそんなことを言われると照れてしまう。恥ずかしさと嬉しさが相まって、円香はもじもじとするが、続く彰史の台詞が円香のそんな感情を吹き飛ばす。

「円香も俺を誘惑してくるしな」
「ゆっ!? 誘惑なんてしてません!」
「してるだろ? その顔が俺を誘っている」

 彰史は再び二人の距離を縮め、円香に口づける。わざとらしく音を立てて唇を離すものだから、円香は羞恥心で頬を赤く染めてしまう。

「もう……」
「そんなに拗ねるな」
「別に拗ねては……彰史さんが前と違うから、戸惑ってるんです……こういうのは好きじゃないと思ってました」

 結婚当初の彰史は必要以上に円香に触れることはしなかった。体を重ねるようになってからも、基本触れ合うのはそのときだけだったから、てっきり彰史はスキンシップを好まないのだと思っていた。

 ところが、二人の仲が親密になるにつれ、それは徐々に増えていき、麗香とのあの出来事があってからは顕著に増えた。円香が戸惑うほどに。

 しかし、彰史には自覚がないのか、円香の言葉に不思議そうな表情を浮かべいてる。
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