妹に許婚を奪われたら、冷徹CEOに激愛を注がれました~入れ替え婚!?~
「私、二人に裏切られたあのときは、自分の価値のなさを突きつけられたように感じました。自分は必要のない人間なんじゃないかって」
「そんなことはない。少なくとも俺にとって、円香は必要な人間だ。価値がないなんてことは決してない」

 彰史は円香の両肩を掴み、正面から強く主張してくれる。

「ありがとうございます。本当にありがとう。でも、大丈夫ですよ。今はもうそんな後ろ向きなことは思っていません。彰史さんが新しい生き方を教えてくれたから。自分らしさを取り戻させてくれたから。だから、今の自分を大切にして生きようって、今はそう思えるんです」
「うん。円香はそのままで魅力的な人間だから、堂々と君らしく生きていけばいい」
「ふふ。ありがとう、彰史さん。そうやって彰史さんが私のことを認めてくれるから、前を向いていられるんです。あの二人に再開したときも、過去を後悔する気持ちよりも、未来のために立ち向かおうっていう気持ちのほうがずっと強かったですから。本当に感謝しています」

 それこそが円香の言いたかったことだ。彰史に感謝の気持ちを伝えたかった。昔の暗い気持ちを語ったのも、彰史がどれほど円香の救いになっていたかをただ伝えたかったからだ。今はもう明るい気持ちが円香を埋め尽くしている。

 その気持ちを表現するように円香がにっこりと微笑めば、彰史も笑みを浮かべて、円香の額に優しく口づけてくれる。
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