妹に許婚を奪われたら、冷徹CEOに激愛を注がれました~入れ替え婚!?~
「俺は少し背中を押しただけだ。すべて円香が本来持っている強さだよ。君はちゃんと闘えるだけの力を持っていた」
「私が? 自分では全然そんなふうには……」
「俺との結婚を決めたのも円香の強さの表れだろ? 君はちゃんと最初から前を向くことを考えていたよ。どちらかというと……君の妹のほうが過去にとらわれているようだったな」
「えっ? そう、ですか?」

 麗香が過去のことを気にするとはまったく思えない。だが、彰史は円香の問いかけにはっきりと頷いている。

「ああ。まあ、過去というよりは円香にと言ったほうが正しいかもしれない。あれは余程君に執着していると見えた」
「私に?」
「うん。あの話し合いの場で、あの女は円香の視線ばかり気にしていただろ? おそらく俺やあの男に関心を示したのも、俺らが円香の相手だったからだろう」

 円香は恐怖で息を飲む。彰史のその言い方だと、麗香は円香の幸せを壊すことに執着していたと聞こえる。そんなに麗香に憎まれていたのだろうかと悲しくなる。
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