妹に許婚を奪われたら、冷徹CEOに激愛を注がれました~入れ替え婚!?~
 今日も円香は彰史の向かいで、その存在を感じながら、絵を描いている。

「なあ、円香」

 彰史からの呼びかけに、円香が手を止めて顔を上げれば、予想以上の優しい瞳に出会う。

「今週の金曜は早く上がれそうなんだ。外に食事にでも行かないか?」
「え、ありがとうございます。でも、彰史さんお疲れじゃないですか? 家でゆっくりしたほうが――」
「いや、週末休めるから問題ない。実は、知り合いにいい店を紹介してもらってな。円香をそこへ連れていきたいんだ。どうだ? 行ってみないか?」

 こんなに忙しいときにまで円香を気にかけてくれていることに、円香の胸は温かくなる。

「そういうことでしたら、ぜひ。楽しみにしていますね」

 彰史の好意に素直に甘えれば、彰史は一段と優しい表情を浮かべてくれる。そんな表情を見せられれば、この選択で正解だと思えた。
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