妹に許婚を奪われたら、冷徹CEOに激愛を注がれました～入れ替え婚!?～

　久しぶりの待ち合わせは円香をドキドキとさせる。久しぶりといっても、彰史が忙しくなってからはまだ一ヶ月も経っていないのだが、彰史との時間が減っていたからか、円香には随分と久しぶりに感じられる。

　円香は以前のようにカフェに入り、すぐに彰史を見つけられる特等席に座って、彼が出てくるのを待つ。どの方向から出て来るかはしっかりと把握しているから、ただ一点を見つめていればいい。

　まだか、まだかとわくわくしながら、同じ方向に何度も目を向けていれば、お待ちかねの人物が姿を現す。

　しかし、現れたのは彰史一人ではなかった。

　彰史に続いて、スーツ姿の美しい女性が現れる。会社の人と一緒に出てきたのだろうかと、そのまま二人の様子を見ていれば、彰史とその女性はごく自然に抱擁を交わしはじめた。

　すぐにいつかの場面が円香の脳内をよぎり、円香はびくりと体を震わせる。あのときの状況と酷似していて、円香の心臓は早鐘を打ちはじめるが、あのときのように逃げたりはしない。

　円香は自分を落ち着かせるようにふぅーっと息を吐き出すと、すぐにカフェを出て、彰史のもとへ急いだ。きっと大丈夫だからと信じて。