妹に許婚を奪われたら、冷徹CEOに激愛を注がれました~入れ替え婚!?~
 離婚を決意した二人の生活は大きくは変わらなかった。

 彰史の立場上、すぐに周囲に報告というわけにもいかないということで、表面上は結婚生活を続けることになったのだ。仕事もすぐに変わるわけではないし、月花の不動産管理の件もあるから致し方ないだろう。

 今までのように二人で同じ家に暮らし、円香が家のことをしている。

 でも、二人の間の触れ合いは一切なくなった。同じベッドで眠ることは当然ないし、ソファーに寄り添って座ったり、手を繋いでデートをすることもない。結婚当初のような同居人に逆戻りしてしまった。

 それでも彰史が優しいことには変わりなくて、彼との暮らしが続くほどに、それを失いたくない気持ちが大きくなる。

 一週間経っても、二週間経っても変わらなくて、このままこの暮らしが続いてくれればいいなんて、そんな考えまで浮かびそうになるが、その日は唐突にやってきた。


「円香、一週間後に日本を発つ」


 円香は胸の痛みを堪えて、ただ「わかりました」とだけ答えた。
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