妹に許婚を奪われたら、冷徹CEOに激愛を注がれました~入れ替え婚!?~
第八章 本音の先にあるもの
 出発の日。円香は、見送りをしてほしいという彰史からの要望に応じ、彰史と共に空港へとやってきた。

 別れのときはもういよいよそこまで迫っているが、二人はまだ離婚はしておらず、今も婚姻関係にある。

 というのも、今日までの一週間、彰史がこれまで以上に多忙を極めていたため、離婚の件は後回しになっていたのだ。

 結局、離婚の件はどこかで時間を作って連絡するから、と彰史に言われ、円香は離婚成立まではこれまでと変わらない生活を送ることとなった。ただし、彰史の存在を除いて。

 彰史と二人で暮らしてきたあの家に、円香一人だけが残されるなんて、とてつもない寂しさに襲われることだろう。だが、それでも彰史との関わりがほんの少しだけでも残るなら、円香にはそのほうがよかった。例え、それがいずれ失われるものだとしても。
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