妹に許婚を奪われたら、冷徹CEOに激愛を注がれました~入れ替え婚!?~
 一週間後。彰史は約束通りに円香のもとに現れた。


「この間の返事を聞かせてくれ」

 彰史の言葉に円香は小さく息を吸う。

 円香はこの一週間で答えを出せてはいない。彰史ともう一度対峙してみて直感に従うと決めていた。


 だから、円香は彰史の視線を真っ直ぐに受け止め、今感じたものだけを信じ、その答えを口にする。

「結婚のお話、お受けします」

 ただの一度もぶれない彰史の視線に円香が感じたのは強い信念のようなものであった。何にも左右されない芯の強さを感じ、彼ならば円香を新しい道へ導いてくれるのではないかという淡い期待が湧き上がっていた。今いる闇の中から救い出してくれそうな気がしたのだ。

 さらには、この男に感じるはずもない誠実さや信頼のようなものを、なぜだか少しだけ感じ取り、それが円香の背中を強く押した。ひどい裏切りを受けた円香には、それが何よりも必要なものだったから。
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