妹に許婚を奪われたら、冷徹CEOに激愛を注がれました~入れ替え婚!?~
 そして今、円香は引っ越し業者に運んでもらった荷物を一人で黙々と整理している。

 ここは元々彰史が住んでいたマンションで、円香がそこに移り住んでくる形になったから、引っ越し作業が必要なのは円香だけだ。

 彰史は事前にゲストルームにしていた部屋を片づけ、円香用に空けておいてくれたから、引っ越し作業は随分とスムーズに進んだ。何しろ自分の身の回りのものを持ってくるだけでよかったのだから。

 家具や家電は彰史が元から使っていたものをそのまま使わせてもらうことになっているし、インフラ関連の契約を新たにする必要もない。住所変更の手続きなんかは必要だけれど、自分の荷物を整理し終えたら、新しい暮らしを始めるための準備は完了だ。

 円香がプロポーズの返事をしてからは、ここまでたったの二週間。あまりにもトントンと進んでいくものだから、円香は悩む暇すらなかった。彰史に言われたことをこなすだけで今日まで来てしまった。

 でも、それでよかったと円香は思う。円香にはきっとこの勢いが必要だった。
< 37 / 201 >

この作品をシェア

pagetop