妹に許婚を奪われたら、冷徹CEOに激愛を注がれました~入れ替え婚!?~
 日本のスーパーゼネコンの一つである住ノ江(すみのえ)建設。その創業一族にして副社長。そして、後に社長として辣腕を振るうことになる人物。その人こそ、円香たちが訪れた屋敷の主・住ノ江康弘(やすひろ)である。

 父・篤彦とは家の繋がりで知り合った仲であり、昔から馬のあった二人は、友人としてずっと交流を続けているのだ。

 父の康弘に対する態度は普通の友人に対するそれでしかなくて、幼い円香も康弘のことを父の知り合いのおじさんとしか思わなかった。特別気に留める存在ではなかった。

 それよりも別の存在が円香の注意を引いた。

 リビングテーブルに隠れている人物が一人。円香と同じ年頃の男の子がテーブルに隠れるようにしてこちらを窺っているのだ。

朔也(さくや)。そんなところに隠れてないで、こっちに来なさい」

 康弘のその呼びかけに、その男の子はちらりと顔を出した。
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