妹に許婚を奪われたら、冷徹CEOに激愛を注がれました~入れ替え婚!?~
「ごちそうさま。本当にどれも美味しかった。ありがとう」

 彰史は食事を終えたあとにまで美味しいと言ってくれる。余程気に入ってくれたらしい。

 円香のほうが『ありがとう』と言いたくなってしまう。

「いえ。お口に合ってよかったです。全部食べてくださったから、嬉しかったです」
「こんなに美味しいものを残すわけがない。明日も楽しみにしているよ」

 彰史は円香に向かって微笑むと自分の食器をまとめて運びはじめた。

「あ、置いておいてください。私が片づけますから」
「このくらいはする」

 彰史はその言葉通りに食器をシンクへと運んでくれた。

 その行動は一般的な家庭に育っている人からすれば、ごく自然な行動だと思うが、彰史がそれをするのはとても意外である。冷血人間なんて呼ばれている人だから、人を気遣うような行動なんてしないと思っていた。もっと冷たく横柄な態度を取られるのかと思っていた。

 でも、今日一日でその考えは覆ってしまった。この人は思ったよりも常識人なのかもしれない。円香はそう考えを改めはじめた。
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