妹に許婚を奪われたら、冷徹CEOに激愛を注がれました~入れ替え婚!?~
 両親が帰宅したあと、円香はソファーに座り、物思いに耽る。今さら朔也とどうこうなろうだなんて気持ちはまったくないが、あの二人が一緒になるのだと思うと何とも言えない喪失感がある。

 もう自分には関係ないことだと頭ではわかっていても、朔也が円香とは築かなかった家庭を麗香と築くのだと思うとやるせなさでいっぱいになる。

 昔思い描いていた朔也との未来が勝手にあれこれと思い起こされて、円香は暗い思考へと引きずり込まれた。

 深い深い沼へと落ちていく。それはあまりにも深くて一人ではそこから脱却できない。円香の意識は完全に現実から遠いところへと飛んでいってしまった。
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