妹に許婚を奪われたら、冷徹CEOに激愛を注がれました~入れ替え婚!?~
しばらくすると彰史は見るからに美味しそうなトマトクリームリゾットと豚しゃぶサラダを作って、テーブルへと並べてくれた。彰史の家事ができるという言葉は本当らしい。
彰史に「どうぞ」と勧められ、円香は感謝の気持ちを込めて「いただきます」と手を合わせた。
彰史の作ってくれたリゾットを一匙すくって口へと運んでみる。酸味の中にほんのりとした甘さがあって、それが円香を癒す。飲み下して胃へと送りこめば、内側から温かくなる。
とてもとても美味しくて、円香は「美味しい」と笑みを浮かべたはずなのに、なぜだか急にぼろぼろと涙がこぼれ始めた。
それは拭っても拭っても次から次に溢れてくる。泣こうだなんて少しも思っていないのにちっとも止まらない。
「あれ……なんで……?」
目の前からは大きなため息が聞こえてきて、円香はびくっと体を震わせた。
「はあ。そんな状態じゃ味も何もわからないだろう」
「すみません」
彰史はもう一度ため息をついて、席を立ってしまう。
せっかく料理を作ってくれたのに、こんなひどい態度を取って彰史を怒らせてしまったと円香は焦るが、涙は未だに止まらない。止めようとすればするほど、なぜかさらに溢れだす。両手で必死に涙を拭い、どうにかしようと躍起になっていれば、突然円香の視界が暗くなった。強い圧迫感も訪れる。
彰史に力強く抱きしめられたのだ。彰史の腕は円香の背と頭にしっかりと回されていて、彰史の胸に円香の顔が押しつけられている。
「我慢するからつらくなるんだ。さっさと全部出してしまえ。自分の家の中なんだ。気にせず、好きなだけ泣けばいい」
顔を押さえつけられて少し息苦しいけれど、彰史から伝わってくるぬくもりがとても心地いい。
てっきり彰史は円香の態度に怒ってしまったのだと思っていたが、こんな円香のことを慰めてくれるらしい。
このタイミングで泣くだなんて、彰史に対してあまりにも失礼な態度を取っているというのに、彰史は円香を責める言葉をただの一言も口にしない。何も言わずにただただ黙って抱きしめ続けてくれる。円香の涙が枯れるまでずっと強く抱きしめていてくれた。
彰史に「どうぞ」と勧められ、円香は感謝の気持ちを込めて「いただきます」と手を合わせた。
彰史の作ってくれたリゾットを一匙すくって口へと運んでみる。酸味の中にほんのりとした甘さがあって、それが円香を癒す。飲み下して胃へと送りこめば、内側から温かくなる。
とてもとても美味しくて、円香は「美味しい」と笑みを浮かべたはずなのに、なぜだか急にぼろぼろと涙がこぼれ始めた。
それは拭っても拭っても次から次に溢れてくる。泣こうだなんて少しも思っていないのにちっとも止まらない。
「あれ……なんで……?」
目の前からは大きなため息が聞こえてきて、円香はびくっと体を震わせた。
「はあ。そんな状態じゃ味も何もわからないだろう」
「すみません」
彰史はもう一度ため息をついて、席を立ってしまう。
せっかく料理を作ってくれたのに、こんなひどい態度を取って彰史を怒らせてしまったと円香は焦るが、涙は未だに止まらない。止めようとすればするほど、なぜかさらに溢れだす。両手で必死に涙を拭い、どうにかしようと躍起になっていれば、突然円香の視界が暗くなった。強い圧迫感も訪れる。
彰史に力強く抱きしめられたのだ。彰史の腕は円香の背と頭にしっかりと回されていて、彰史の胸に円香の顔が押しつけられている。
「我慢するからつらくなるんだ。さっさと全部出してしまえ。自分の家の中なんだ。気にせず、好きなだけ泣けばいい」
顔を押さえつけられて少し息苦しいけれど、彰史から伝わってくるぬくもりがとても心地いい。
てっきり彰史は円香の態度に怒ってしまったのだと思っていたが、こんな円香のことを慰めてくれるらしい。
このタイミングで泣くだなんて、彰史に対してあまりにも失礼な態度を取っているというのに、彰史は円香を責める言葉をただの一言も口にしない。何も言わずにただただ黙って抱きしめ続けてくれる。円香の涙が枯れるまでずっと強く抱きしめていてくれた。