妹に許婚を奪われたら、冷徹CEOに激愛を注がれました~入れ替え婚!?~
 いつもならば、すぐに目を閉じて、心のシャッターを閉めてしまうけれど、今日は彰史を真っ直ぐに見つめ、彼の首に腕を回して、向き合いたいのだという自分の意思を示す。

 彰史は円香のその行動に柔く笑むと、二人の距離を徐々に縮めて、円香に優しい口づけを施しはじめる。

 彰史を意識しながら受ける口づけはとても甘美で、円香の心を疼かせる。彰史が欲しくて、彰史に触れたくてたまらなくなる。

 彰史の唇が動くのに合わせて、円香もそれに応えれば、得も言われぬ快感が体を駆け抜けていった。

 軽く音を立てて唇が離れるのに合わせ、瞳を開いてみれば、満足そうに微笑む彰史がいる。

「これまでと全然違うな。自分でわかったか?」
「はい……気持ちよかった」
「そうだな。言っておくが俺は何も変えてないからな。円香が変わったんだ」
「少し彰史さんのことを意識しただけで?」
「それで十分。上出来だ。無理に全部をさらけ出す必要はないんだ。相手のことを意識しながら、あとはそのとき触れ合っている感触に正直になればいい。自然と心も体も動く。そういうものだ」

 円香はこくりと頷く。たった今同じことを経験したから、彰史の言うことがよくわかった。円香は自然と彰史を求めるように動いていたのだから。
< 79 / 201 >

この作品をシェア

pagetop