妹に許婚を奪われたら、冷徹CEOに激愛を注がれました~入れ替え婚!?~
「うん、薄い青もよく似合うな」

 彰史は円香に服をあてがいながら、楽しそうに円香へ贈る服を選んでいる。

 円香も緊張はするものの素敵な服に囲まれれば楽しい。自然と笑みが漏れるが、今の状況に照れてしまって、いつもより大人しくなってしまう。こんなふうに男の人に服を身立ててもらうのは初めてのことだから、なんともこそばゆい気持ちになっている。

「ずっと黙ってどうした?」
「……こういうのは初めてで」
「うん? ワンピースくらい持っているだろ?」

 彰史は服のことを指していると勘違いしたらしい。

 銀座のショップに足を踏み入れるのは初めてだが、ドレッシーなワンピースは数着持っている。円香は彰史の誤解を解くため、横に小さく首を振りながら答える。

「いえ、そういう意味ではなくて、男の人に選んでもらうのが初めてなんです」
「あー、はは。照れているのか」
「照っ……」

 図星を指されて円香はさらに照れる。なんだか頬が赤くなってしまったような気がして、両頬を自身の手で軽く包んだ。

「センスはいいと言われているから安心しろ。俺が円香の魅力を最大限に引き出してやる」

 彰史のその自信の強さに円香は感心しつつ、この場はもう彼にすべてを任せることにした。
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