妹に許婚を奪われたら、冷徹CEOに激愛を注がれました~入れ替え婚!?~
 閑静で、落ち着いた雰囲気の店内には、曇りのないガラスケースがそこかしこに。その中には煌びやかな宝飾品がいくつも鎮座している。

 店内の雰囲気と同じく、落ち着いていて品のある店員に案内されれば、勝手に身が引き締まる。

 彰史はこの場でも普段と変わりなく悠然としており、少しの緊張も見られない。

 近くに落ち着いた態度の人間がいると不思議と自分も落ち着いてくるもので、円香は感じていた緊張を少し弱めた。


 美しいネックレスらに円香が見惚れる中、ドレスのときと同様に彰史に今の円香の格好に合うジュエリーを選んでもらう。

「ドレスがブルーだからな。白いパールがよく映えるか」

 彰史はパールが連なったネックレスを指している。シンプルなパールネックレスだが、シンプルが故に美しい。足すことも引くことも必要ない、完成された美しさだ。

 彰史が「このネックレスを」と言えば、店員がそれを取り出し、円香に身に着けさせてくれる。

「うん、いいな。円香はどう思う?」
「とても素敵です。華やかになっていいですね」
「そうだな」
「このドレスにもとてもよく合っていますね。本当に素敵」
「じゃあ、これにするか? それともまだ他も見てみるか?」
「これがいいです」

 円香は即決できるタイプではないのだが、このときばかりはとてもしっくりときていたから、珍しくも迷うことなく答えていた。
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