妹に許婚を奪われたら、冷徹CEOに激愛を注がれました~入れ替え婚!?~
 到着したレストランはまたも格式の高さが窺える店である。

 しかし、今日一日そういう場所を巡ってきたせいか、はたまた彰史がそばにいる安心感からか、円香はもう緊張は感じずにただ高揚感だけを味わう。

 彰史に選んでもらった食前酒に口をつければ、気分はさらに上がる。

「美味しい」

 そんな感想が思わず漏れ出る。

 彰史がシャンパンを飲んでいる一方、円香が飲んでいるのはシャンパンを使ったカクテルのミモザである。

 シャンパン自体は飲んだことがあるものの、それを使ったカクテルを飲むのはこれが初めて。オレンジジュースが組み合わされているから、とても爽やかな味わいになっている。

「円香はカクテルにして正解だったな」
「はい。さっぱりしていて、とても飲みやすいです」
「よかったな。だが、飲みやすいといってもアルコールは入っているから、酔いには気をつけておけよ?」
「気をつけます」

 普通の量のお酒で酔ったことはないから大丈夫であろうが、円香は彰史の忠告にはしっかりと頷いておいた。

 その後は絶品の料理に舌鼓を打つ。どれもこれも本当に美味しくて、ほっぺたが落ちてしまいそうだ。

 しかも、デセールはワゴンタイプで好きなものをあれこれと盛りつけてもらえる。

 たくさんのスイーツが乗ったワゴンを見ているだけで心が躍り、選んだものを口にすれば、美味しさでさらに気分は高揚した。

 お腹も心も満たされて、円香はとてもいい気分になっている。

「美味しかったか?」
「どれもとても美味しかったです。デザートもかわいくて、わくわくしてしまいました」
「デザートを前にした円香の目はキラキラと輝いていたからな。円香が満足したようでよかった」
「もう大満足です。ありがとうございます、彰史さん」

 円香の感謝の言葉に、彰史は「ああ」と言って優しく微笑んでくれる。

 彰史のその表情に円香の心はさらに満たされた。
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