妹に許婚を奪われたら、冷徹CEOに激愛を注がれました～入れ替え婚!?～

　自宅への帰り道。円香は車に揺られながら、隣に座る彰史のことをずっと意識している。

　なぜだか彼に甘えたい気持ちでいっぱいになっていて、二人の間にある少しの距離をとてももどかしく感じてしまう。

　彰史に触れたくて、でも、運転手のいるこの場ではそれもできなくて、円香は誤魔化すように窓の外へと目を向ける。

　早く自宅に着いてくれないだろうか、なんて考える円香だが、車窓からの景色が見慣れたものになってきた頃に円香は違和感を覚える。

　今、走っている道は円香のよく知っている道だが、自宅へ続く道ではない。

「え？　この道って……」
「少し寄り道だ」

　彰史は愉快そうに笑みを浮かべてそれだけを言い、他は何も言わなかった。


　車はやはり円香の知っている道を走り続ける。そして、とうとうある場所へと到着する。

　それは円香のよく知る場所。

　孝之助の暮らす家だ。