妹に許婚を奪われたら、冷徹CEOに激愛を注がれました～入れ替え婚!?～

　この場所へ来た目的がわからないまま、彰史に続いて玄関へと向かう。

　彰史が呼び鈴を鳴らせば、中からは当然孝之助が姿を現すが、姿を現したのは孝之助だけではなかった。

「え？　ええ？　なんで？」

　孝之助と共に両親が円香たちを出迎えている。

「二人ともよく来たな。円香、驚きすぎだぞ」
「だって……どうしてお父さんたちもいるの？」

　父に驚きすぎだと言われても、まだ驚きを隠せない。

　父の生まれた家なのだから、二人がいてもおかしくはないのだが、この状況が偶発的に起こったものとは思えない。

「彰史くんに一緒に円香を祝おうと言われたんだよ」
「そう、なの？」
「ああ。そのほうが円香も喜ぶと思ったからな」
「彰史さん……ありがとうございます」

　予想だにしなかったサプライズに、円香は胸を温かくする。まだ玄関先だということも忘れて、彰史を見つめてしまう。彰史も円香の視線を優しく受け止めている。

「続きは中で。二人とも入りなさい」

　孝之助の言葉で円香は自分の状況を思い出す。自分の夫と見つめ合うだなんて、なんだか小恥ずかしいところを親らに見られてしまった。とても照れ臭い。円香は顔を俯けて恥ずかしさを誤魔化すようにしながら、彰史と共に家の中へと入った。