卒業式と第2ボタン
後輩の第2ボタン
卒業式のあと、高校の玄関を出ると在校生たちが、私たち卒業生を見送るために、部活単位で集まってくれていた。
うちの学校って結構人数が多かったんだなと改めて思う。
ざっと500人ほどいる中から我が陸上部を探そうとキョロキョロしていると、正面から「春さん!」と後輩の青野が迎えに来てくれた。
「最近、部活どう?」
「ようやく雪が解けてきて外で走れるようになりましたよ」
「そっか、よかったね」
隣を歩く青野はいつもどおりで。
何て言うか今日で卒業だなんて実感がわかない。
こっちです、と言われるままついていくと少し人混みから外れた場所で他の部員は見当たらない。
「あれ、みんなは?」
私の問いに青野は少しだけ困ったような顔をする。
「…まずはご卒業おめでとうございます」
「あ、ありがとう」
状況に戸惑いながらもお礼を言うと、青野はなぜか俯いてしまって表情が見えない。
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