卒業式と第2ボタン

うるうるとしてきた瞳から、涙がこぼれ落ちないように必死に堪えていると、青野の頬にあてていた手にそっと手を添えられた。



「……好きです、春さん」



ぎゅっと、手だけじゃなくて。
心臓まで掴まれたような熱さを感じる。


「…そうやって、自分のことのように泣いたり怒ったり喜んでくれるあなたのことが。好きなんです」


いつの間にか頬に流れていた涙を優しく手で拭われた。


「青野が、…私のことが好きだなんて知らなかった」

「俺が弱音を吐けるのも、下の名前で呼ぶのも春さんだけですよ」


そう言う青野はさみしそうで、でもすごく優しくて。

だめだ、どうしよう。
さっきから心臓が壊れそうなくらい、どきどきしている。



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