「役立たず」と死の森に追放された私、最強竜騎士に拾われる~溺愛されて聖女の力が開花しました~
今日からママになりました
 隙間風から漂う春の香りに導かれ、エレオノールは目を覚ました。

 藁をたっぷりと敷いたベッドから起き上がり、いつの間にか頬を伝っていた涙を拭って苦笑する。

(ひとりの朝なんて、もう何度も迎えたのに。いまだに慣れる気がしないな)

 かつて父親に捨てられ、死の森をさまよった少女は十八歳になっていた。

 健康的に色づいたバラ色の頬に形のいい唇、ほっそりとした顎の形は幼い頃から変わっていない。

 かつては薄汚れて見えた金髪は陽の光を集めたようにきらめき、父に疎まれた翠玉の瞳には穏やかな知性が宿っている。

(あの頃の夢を見るなんて……)

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