「役立たず」と死の森に追放された私、最強竜騎士に拾われる~溺愛されて聖女の力が開花しました~
 エレオノールは大きく伸びをすると、まくれていた裾を丁寧に直してから水瓶のもとへ向かう。

 柄杓で水をすくい、顔を洗うと、キンと心地よい冷たさに当てられてくしゃみが出た。

 棚に置いてある綿のタオルで顔を拭いてから、ベッド脇に置いてあるカゴに近づく。

 蔓で編んだカゴには光沢のある鈍色の丸い塊があった。

完全な球の形ではなく面長で、大きさはエレオノールが両手で抱きかかえられる程度。ずっしりとした重さがあり、触れるとほのかに温かい。

「きっと寂しいのね。あなたが孵ってくれたら、少しはやわらぐかしら?」

 ベッドに腰を下ろすと、エレオノールはその大きな鈍色の卵をタオルで磨き始めた。

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