「役立たず」と死の森に追放された私、最強竜騎士に拾われる~溺愛されて聖女の力が開花しました~
「……悪い。シュルーシュカと同じ感覚で話しかけていた。まだ念話は使えなかったな」

「んみゅう」

 言っていることを理解しているのかいないのか、リュースはジークハルトの腕にすっぽり収まると、袖についたボタンで遊びだした。

 愛らしい姿だが、ジークハルトの顔つきは厳しい。

(状況から推測するに、誰かが間違えて扉を閉めてしまい、倉庫から出られなくなったのだろう。……だが、それだけであんなふうになるものなのか?)

 ひくりと眠っているエレオノールが小さく喉を鳴らす。

 まだ夢の中でも泣いているのかもしれないと、ジークハルトは彼女を安心させるために手を握ってやった。

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