「役立たず」と死の森に追放された私、最強竜騎士に拾われる~溺愛されて聖女の力が開花しました~
 頭がぼうっとしていたこと、落ちたシーツに気を取られていたこと、そして転ぶところを助けられた気恥ずかしさと申し訳なさから相手を確認していなかったが、この声には聞き覚えがある。

(この声、まさか……?)

 恐る恐る顔を上げたエレオノールは、自分の代わりにシーツを拾った男――ジークハルトと思いきり目を合わせてしまい、慌ててまたうつむいた。

「恥ずかしいところをお見せしてしまい、申し訳ございま――」

「ほかのメイドはどうしたと言っている」

 ジークハルトの声はひどく張り詰めている。

(これは明らかに怒っている……)

 久々に会ったのもあり、エレオノールの気まずさは頂点に達していた。

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