「役立たず」と死の森に追放された私、最強竜騎士に拾われる~溺愛されて聖女の力が開花しました~
 すぐにでも駆けていきたい気持ちを抑え、ジークハルトは衣服を整える。

(仕事を投げ出すような人ではない。だとしたら、俺に回復魔法をかけたことが原因で身動きを取れない状況に陥っているのではないか)

 じわりと焦りが滲む。

 自身の推測が正しかったとジークハルトが気づくのは、それから少し経ってからだった。



 部屋の主の返事は、家令に聞いた通りなかった。

(城主として、城内の人間がどう過ごしているか知る権利がある。……はずだ)

 ジークハルトはそう理由をつけて扉を開き、足を踏み入れる。

 その途端、足もとでぴちゃりと水を踏む音がした。

(なんだ……?)

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