「役立たず」と死の森に追放された私、最強竜騎士に拾われる~溺愛されて聖女の力が開花しました~
 床に水差しが転がっており、点々と水たまりができている。

 その跡を追いかけると、ベッドで苦しげに荒い息を吐く少女の姿があった。

「ラス」

 思わず駆け寄ったジークハルトは、エレオノールの顔に一生懸命びしょ濡れの布を押しつけるリュースの姿に気がついた。

「みゅう、みゃあ」

 その仕草を見てエレオノールの額に手を当てると、水で濡れているのにひどく熱い。

「熱を冷ましてやろうとしたのか」

「みゃあ、みゃあ」

「……すぐに来てやれなくて悪かった」

 リュースはエレオノールを助けようとしたのだと理解するも、びしょ濡れの布を押しつけてはよくなるものも悪くなるばかりだ。

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