「役立たず」と死の森に追放された私、最強竜騎士に拾われる~溺愛されて聖女の力が開花しました~
 だが、彼女は育て親のおかげでエルフという閉鎖的な種族に好感を抱いている。

(素敵なことをたくさん知りたい。……この子も放ってはおけないし)

 エレオノールは毎日欠かさず面倒を見ている鈍色の卵に視線を向けた。

 テレーが言うには、これはドラゴンの卵だという。

 最初に聞いた時は怖いと思ったし、今はエルフの住む森とテレーを奪った種族だと思うと複雑な気持ちがある。

 その恐ろしさと苦い気持ちを捨てて卵の面倒を見ているのは、拾った者としての責任感と、ここまで一緒に過ごした愛着によるものだ。

「あなたはいつになったら孵るの?」

 呼びかけても卵はなにも反応しない。

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