「役立たず」と死の森に追放された私、最強竜騎士に拾われる~溺愛されて聖女の力が開花しました~
(テレーは『もうすぐ』って言ってたけど、たぶんあれはエルフの感覚で言ってたんだわ。そうじゃなかったら、十年も卵のままでいるはずない)

 テレーとの出会いからおよそ一年後に拾った卵は、当時のままなにも変化がなく、ときどき生きていることを示すようにコツコツと奇妙な音を立てるだけである。

「あなたに会える日は、きっと『素敵』な日ね」

 エレオノールはギュッと卵を抱き締め、愛おしげに撫でてから、もとのカゴの中に戻した。

 そして、その上に自分で刺繍した布をかぶせ、カゴを手に家の扉を開く。

(今日もいい一日になりますように)

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