「役立たず」と死の森に追放された私、最強竜騎士に拾われる～溺愛されて聖女の力が開花しました～

　だからなるべく村人と顔を合わせないよう、卵のための散歩は朝早くに行う。

　この散歩が必要かどうかは知らないが、テレーが『きれいなものをたくさん見せてやったらいいんじゃないかな』と言っていたのを覚えていた。

「ここまでこんなにいい香りがしているんだもの、きっとたくさん花が咲いているに決まっているわね」

　エレオノールは卵に話しかけながら、村を少し離れた先にある丘へ向かった。

　春になるとそこは一面の花畑になるのだ。

「ああ、やっぱり」

　色とりどりのかわいらしい花々を見たエレオノールは、声を弾ませて足を速めた。