「役立たず」と死の森に追放された私、最強竜騎士に拾われる~溺愛されて聖女の力が開花しました~
「命の恩人を、三度も慰めるような真似はしたくない。あんな悲しそうな顔で泣くのは今回限りで最後にしてくれ」

 ジークハルトはエレオノールの目尻に指を滑らせると、ほんの少し表情を引き締めた。

「俺がお前の居場所になってやる。それを忘れるな」

(……そう言ってくれたのは、やっぱりジークハルトさんなんだ)

 記憶にないが頭に残る言葉を改めて咀嚼する。

 どこにも行き場がないエレオノールにとって、言い表せないほどうれしいひと言だった。

「……ありがとうございます」

 今までにない胸の高鳴りを覚え、エレオノールはぎこちなく礼を言った。

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