「役立たず」と死の森に追放された私、最強竜騎士に拾われる~溺愛されて聖女の力が開花しました~
「誘ったのは私なのに……」

「こういう時は俺から誘うのが筋だろう」

 真面目くさって言うと、ジークハルトはふっと笑った。

(私、あなたの笑った顔を見るのが好きみたい)

 人々の流れに身を委ね、エレオノールはジークハルトに先導されるまま足を動かした。

 格調高い弦楽器の音がやわらかく響き、特別な空気をより輝かせる。

「楽しそうだな」

「ええ」

 答えて、エレオノールは笑顔を返した。

(あなたの声も好き。手も、広い胸も)

 音楽に合わせてくるりと一回展すると、意識を別のところに向けていたせいか転びそうになる。

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