「役立たず」と死の森に追放された私、最強竜騎士に拾われる~溺愛されて聖女の力が開花しました~
 見つめられることに耐え兼ねてうつむくと、いつの間にか腰を抱いていた腕がエレオノールを引き寄せた。

(ここにリュースがいてくれたらよかった。そうしたら、この人の腕から逃げ出す口実ができたのに)

 うつむいたままのエレオノールの目尻には、こぼすまいと必死に堪える涙が浮かんでいた。



 ひと区切りついた音楽が止まると、踊っていた人々は互いに会釈をして広間に散っていった。

 中央ががらんと空くも、すぐにお喋りに勤しむ人々が隙間を埋めていく。

 エレオノールは残りの時間をジークハルトに任せることにした。

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