「役立たず」と死の森に追放された私、最強竜騎士に拾われる~溺愛されて聖女の力が開花しました~
 堂々としたジークハルトの姿を、エレオノールはおとなしく見守っていた。

(いつもは皇子様らしいところを見ないから、身分なんて気にならなかった)

 身分違いである事実をひしひしと実感していた時、エレオノールはジークハルトに挨拶をしに来た別の貴族を見て息を呑んだ。

 顔に深い皺を刻んだ男女と、まだ子どもといっていい少女は、同じ宝石をはめ込んだのかと錯覚するほど美しい青い瞳をしている。

 これまで見た貴族に比べるとドレスの意匠は古く、布地が少しよれていた。

 その貴族たちはエレオノールたちのもとへやってくると、疲れを滲ませながら頭を下げる。

「お目にかかれて光栄です。ジークハルト殿下」
< 333 / 530 >

この作品をシェア

pagetop