「役立たず」と死の森に追放された私、最強竜騎士に拾われる~溺愛されて聖女の力が開花しました~

 男はそう言うと、そばにいた十歳くらいの少女の背を軽く押して挨拶を促した。

 少女は緊張した顔で赤いドレスの裾をつまむと、ぎくしゃくとお辞儀をする。

「アナイス・リール・ラフィエットと申します。お会いできてとてもうれしいです」

(――ああ、やっぱり)

 無意識にエレオノールは足を引いていた。

 目の前にいるのは、十一年前に家族と呼んでいた者たち。

 そして会釈をした少女はエレオノールの母親違いの妹だ。

「こちらこそ、未来の淑女と挨拶できてなによりだ。社交界に出たのは今日が初めてか?」

 少女の代わりにラフィエット伯爵が答える。

< 334 / 530 >

この作品をシェア

pagetop