「役立たず」と死の森に追放された私、最強竜騎士に拾われる~溺愛されて聖女の力が開花しました~
男はそう言うと、そばにいた十歳くらいの少女の背を軽く押して挨拶を促した。
少女は緊張した顔で赤いドレスの裾をつまむと、ぎくしゃくとお辞儀をする。
「アナイス・リール・ラフィエットと申します。お会いできてとてもうれしいです」
(――ああ、やっぱり)
無意識にエレオノールは足を引いていた。
目の前にいるのは、十一年前に家族と呼んでいた者たち。
そして会釈をした少女はエレオノールの母親違いの妹だ。
「こちらこそ、未来の淑女と挨拶できてなによりだ。社交界に出たのは今日が初めてか?」
少女の代わりにラフィエット伯爵が答える。