「役立たず」と死の森に追放された私、最強竜騎士に拾われる~溺愛されて聖女の力が開花しました~
「いいえ、初めて社交の場に出たのは五年前になります。もっとも、妙な虫がつかないようパーティーへの参加は最低限としてきましたが」

 そう言ってから、伯爵はずいっとジークハルトに向かって身を乗り出した。

「恐れながら、殿下はいまだにお相手を定めていらっしゃらないと耳にしました。どうでしょう、うちの娘は幼いですがきっと……」

「申し出はありがたいが、今はともにダンスを踊る女性がいる」

 貴族の娘がひと回りどころか父親以上の年齢の男と婚姻を結ぶのは珍しくない。

そうはいっても、伯爵の勢いは少々異様だった。

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